自己破産を考えたとき多くの人が
ついやってしまいがちな行動があります。
- 友人知人の借金だけ返しておこう
- 財産の名義を変更しておこう
- 現金がないからクレカで買い物して換金しよう
これらは一部ですが、
やってしまうと最悪、
破産申請しても免責が下りない可能性があります。
目先の利益や誘惑に負け、
あとあと「やらなきゃよかった」と後悔する前に
自己破産前で免責が下りない8つの行動を確認しておきましょう。
この記事の内容
自己破産を簡単におさらい
もうご存知だと思いますが、
自己破産とは、
「借りたお金がもうどうにも支払えない状態」
(支払不能)
を裁判所に認めてもらい免責を受けて
借金の支払いを免除してもらう債務整理方法です。
簡単に言えば、
借金がゼロになるってこと。
破産手続きでは、債務者の財産を債権者全員に公平に分配し、
借金を整理したのち、
生活をもう一度立て直すチャンスを与えられます。
自己破産は、借金苦の人が人生をやり直すために
国が用意したチャンス。
最終的な救済措置なのです。
任意整理や個人再生など、
他の債務整理方法では借金問題を解決できない場合、
自己破産を選択します。
自己破産では免責許可が下りるかどうかが重要
自己破産で勘違いしやすいのは、
自己破産申請をした時点では「ただの破産者」の状態で、
裁判所から免責許可決定が下りてはじめて借金から解放されることです。
破産を宣言しただけの状態では、
まだ借金の支払いを免除されません。
免責許可決定って何?
免責とは、
普通なら負うべき責任を負わずに許されることです。
普通なら借りたお金を返さなければいけませんが、
裁判所が
「いや、アナタ、もうどんなに頑張っても
支払不能状態だし、生活再建のために
債務の責任を負わなくていいよ」
と言う許可が出るのが、免責許可制度。
残りの5%は「免責不許可事由」と言って、
破産を申し立てた人がある条件に当てはまる場合は、
免責が認められないケースです。
免責が認められなければ、
破産手続きしただけで、借金はゼロになりません。
免責不許可が下りない理由を作らない
免責が下りないことを免責不許可と言い、
不許可になる条件を「免責不許可事由」と言います。
(破産法二百五十二条一項)
最近では免責不許可事由があっても、
裁判所の裁量で免責がおりるケースがほとんどですが、
だからといって安心はできません。
絶対に免責がおりるという保証はないからです。
さらに、免責不許可事由に当てはまる人は、
手続きが長引いたり複雑になるなど、
余分に弁護士費用がかかります。
コストがかかってさらに免責がおりなかったら
一体何のために自己破産を申し立てたのか
わからなくなりますよね。
そこで、
事項では自己破産前または免責前にやったら
免責不許可事由になってしまうリスクの高い
「自己破産前で免責が下りない8つの行動」
について詳しく解説していきます。
自己破産前で免責が下りない8つの行動
免責不許可事由(破産法破産法二百五十二条)
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。四 浪費又は賭 博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。五 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。六 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。七 虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。九 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
1.クレジットカードで購入した商品を換金する
破産法破産法二百五十二条
二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
それをすぐに転売したり質入れして換金する行為です。
- 多重債務でもうどこからも借りられない
- カードローン・キャッシングの枠が足りない
このような場合にやってしまいがちな行動。
商品券やブランド品、家電パソコンなど換金目的で購入し
実際に換金することは、カード会社の会員規約にも違反することになります。
返済方法の1つとしてカード現金化を迫るケースも
報告されています。
破産法でも免責不許可事由として定めていますので、
絶対にやってはいけません。
2.特定の業者(人)にだけ先に返す
破産法破産法二百五十二条三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
不公平が生じないよう清算しなければいけません。
- 取り立てが厳しく強い人にだけ30万円返しておこう
- 年金暮らしの親にだけ返そう
- 友達・知人の借金だけは返済しよう
このように、支払い不能に陥った後、
一部の業者(人)にだけ返済して、
債権者間に不公平が生じるような行為は
偏波弁済(へんぱべんさい)と言い、
破産手続きを妨害する行為にあたります。
偏波弁済した場合の破産手続きは、
特定の業者(人)に弁済した分を
返還請求しなければならないなど複雑化し、
免責が下りない可能性も大です。
親・友人が保証人になっている借金だけを返して
他の債権者の分は自己破産するよくあるケース。
たとえそれが親・兄弟であっても、
債権者に変わりはないため、
本来は他の債権者と平等に扱わなければなりません。
なのでこれはNG行動!
ただし、すごく少額な返済や返済する時期によっては、
問題ないと判断される場合もあります。
最近はメールや電話で無料相談できますので、
返済する前に、必ず司法書士や弁護士に
確認しておくと安心です。
3.ギャンブルや浪費で借金を作った
破産法破産法二百五十二条
四 浪費又は賭 博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと
- ギャンブル(麻雀・パチンコ・競馬・宝くじ)
- 過度な浪費(キャバクラ・風俗・ショッピング)
などの場合も免責不許可事由になります。
ただし、ギャンブル・浪費が免責不許可事由になるのは、
あくまでも過大な債務負担した場合や、
著しく財産を減少させたケースです。
最近は、ギャンブル・浪費による借金だとしても
裁判所が諸事情を考慮して免責決定がなされたケースも
多数あります。
(絶対大丈夫という安心はできません…)
4.支払不能状態を隠し新たに借り入れをした
破産法破産法二百五十二条
五 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
その事実を隠し債権者を信用させお金を借りる行為は
不正融資や詐欺にあたります。
破産宣告1年前あたりの借り入れから該当するので注意が必要です。
詐欺罪にあたり刑事罰となるケースもあります。
債務整理しないともう支払えない…
かなり危険です。
早めに弁護士に相談しましょう。
5.資産を隠した
破産法破産法二百五十二条六 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
資産目録や財産目録を添付する必要があります。
生命保険の解約返戻金・退職金の見込み額など、
債務者のあらゆる資産状況を
正直に報告しなければなりません。
債権者へ公平に配当します。
多くの人が資産も財産もない支払不能状態で、
同時廃止となりますが、
偽装離婚をして財産分与をする、現金を庭に埋めるなど
財産を隠す行為をする人もいます。
免責不許可事由となります。
6.債権者を隠す・裁判所に嘘をつく
破産法破産法二百五十二条
七 虚偽の債権者名簿(第二百四十八条第五項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第一項第六号において同じ。)を提出したこと。八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
「誰にいつ・どこでいくら借りたか?」を明らかにする
債権者一覧表が必要です。
友人に借りた借金も記載します。
嘘の債権者名簿を提出する行為は、
バレると弁護士の手間も増えコストも時間もかかります。
リスクしかないありません。
漏れのないようにチェックしてから
提出しましょう。
7.闇金からの借り入れ
(友人・知人含む)
闇金のように法外な利息で借り入れした場合の借金は、
自己破産の対象ではありません。
支払う必要がないのですが、
きつい取り立てを思うと無視もできませんよね。
闇金に強い弁護士&司法書士に依頼することで
8.免責申立て前7年以内に免責を得ている
十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日ロ 民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百三十九条第一項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日ハ 民事再生法第二百三十五条第一項(同法第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
再度免責を得ることができないよう定められています。
免責許可がおりません。
免責不許可事由があっても自己破産できる?
実は、免責不許可事由があっても裁判所の裁量で
免責不許可事由ありでも諦めない!許可された体験談
付き合っていた彼氏の保証人になり700万円の借金を背負うことに。
副業で水商売のアルバイトも掛け持ちしてなんとか借金を払っていました。
ブランド物のバックや服を買うなど浪費が激しくなります。
だんだんとキャッシングやショッピングリボを繰り返し、
利息も返せなくなり、自己破産。
その後、額が膨れ上がった要因は、
免責不許可事由にあたる、過度な浪費でした。
書類作成を工夫したり裁判所での審尋で
どう答えればいいかなど弁護士のアドバイスをもらい、
1年かけて免責許可を得ることができました。
人生をやり直しています。
なぜ免責許可が下りたのか?
それを横について一から教えてもらいました。
破産手続きに精通しています。
どのように報告すれば免責許可を得られるか
熟知しています。
自己破産を考えたらまずは弁護士か司法書士に相談しましょう。
他の債務整理で解決できる道が見つかるかもしれませんよ。
自己破産で大事なのは諦めないこと
過大な債務には当たらないと判断され
免責許可が下りる場合があるのです。
年齢・性格・職業・生活状況・破産に至った経緯などを
総合的に判断して決定されます。
自己破産できない」